1. ホーム
  2. NEWS
  3. 附属特別支援学校に農学部のヤギがやってきた!動物との触れ合いにドキドキ

附属特別支援学校に農学部のヤギがやってきた!動物との触れ合いにドキドキ

 「かわいい!」「ヤギさん、おはよう!」―教育学部附属特別支援学校のグラウンドに子どもたちの明るい声が響きわたりました。農学部から、サンちゃん(11才)?ウメちゃん(9才)という2頭のヤギが同校へやってきたのです。

ヤギと安江教授、生徒たち

 ヤギたちは、11月24日、農学部の安江健教授と学生によって、ひたちなか市にある附属特別支援学校へと連れてこられました。これから29日までの約1週間の滞在です。ヤギたちを迎えるべく、同校の先生と生徒たちが前もって農機具庫を整理。牧草を敷いてふかふかの家をつくりました。

 翌25日朝。初めての場所に緊張し、夜はあまり眠れなかったのか、2頭ともまどろんでいる様子。それでも見慣れた安江教授がやってきて「おはよう!」と声をかけると、はっと目を覚ますようにして立ち上がります。

 この日は高等部の生徒たちがヤギと触れ合いました。今後1週間、ヤギと過ごすため、歩かせ方やブラッシングといった飼育のポイントについて、安江教授がレクチャーをしてくれるのです。

安江教授、阿部副校長とヤギ

 グラウンドに集まった子どもたちのところへ安江教授と阿部副校長がヤギを連れていくと、生徒たちのなかから「わあ、かわいい!」「おはよう!」という声が上がります。「ヤギは胃袋が4つもあります」といった安江教授の説明を興味津々に聞く生徒たち。続いて安江教授は、ヤギの向きを変えたいときは無理やり引っ張るのではなく、お尻を押しながら自分を中心にして回すこと、皮膚が厚いのでブラッシングは力を入れて強くこすってあげること、角をつかまれると嫌がることなど、触れ合う上での注意点を紹介していきました。

「ではみなさんも触ってみてください」と安江教授。すぐに近づいて触る生徒もいれば、距離を置いて少し遠くから眺める生徒もいます。背中をなでた生徒は、「あったかい!」。外気の寒さの中でのヤギの体温のぬくもりを感じたようです。

ヤギのブラッシングをする様子ヤギのブラッシングをする様子(2枚目) ブラッシングも最初はおそるおそる......安江教授が「もっと強く、大きくやってみて」と、ブラッシングをする生徒の手の上に自らの手を重ね、一緒にやってみせます。少しずつ慣れた生徒たちは、「ウメちゃん、よしよし」などと声をかけながら、首のあたりをゴシゴシ。ヤギたちは「もっとやって~」とでも言うような表情でいかにも気持ちよさそう。最初は怖がって遠くから見ていた生徒も、少しずつ近づき、最後は手からエサをあげられるようになりました。

ヤギにエサをあげる生徒と安江教授 その後はグラウンドを横切り、フェンスの外の草道へ。ここはヤギのエサとなる草や葉がいっぱい!生徒たちとじゃれ合ってお腹が空いたのか、ヤギたちは夢中になってフェンスを這う蔦の葉などを食みます。元気でかわいいヤギたちから生徒たちもたっぷりエネルギーをもらったようで、満足そうな顔で特別授業を終えました。

 附属特別支援学校では、2023年度から「子どもたちの内面や生活を『豊か』にする音楽?図画工作/美術?体育/保健体育の授業づくり」という研究テーマを掲げ、音楽?図工/美術?体育/保健体育の3教科(「生きる実感教科」)を、国語?算数/数学に並ぶ主要教科に位置づけて1週間の課程の中心に配置するような取り組みを進めています。その中で動物と触れ合う機会も探っていた阿部副校長が、「ダメもとで」農学部に相談。動物のケアが人に与える心理的作用の研究にも取り組んでいる安江教授が賛同し、ヤギたちの「出張」が実現しました。

 ヤギと触れ合う子どもたちの様子を見て、「子どもたちはドキドキしている様子でしたが、このドキドキが大事だと思うんです」と阿部副校長。「図鑑で分からない力強さ、におい、思いどおりにいかない難しさなど、ただ『かわいい』だけではなく、生き物としてのヤギに触れることがとても大事なことだと思うんです」と語ります。普段、周囲の動きに合わせることに戸惑っている生徒が、ヤギのことを考えて、自由なその動きに合わせようとしている姿なども印象的だったようです。

 安江教授は、「生徒たちは怖がりながらもだんだん触れることができました。これから1週間一緒に過ごす中で、たとえば雨が降ってグラウンドに放牧できなくなったら、エサはどうすればいいんだろう、自分たちで草を刈って持っていってあげなくちゃ、などと気付いていけるようになるといいですね。それこそが動物がいる教育の醍醐味だと思います」と言います。

 今後は小学部、中学部の子どもたちが触れる機会もあるそう。また、近隣の保育所の子どもたちとの触れ合いも計画されているようです。つなぎを着て、すっかりペーターのようになった阿部副校長は、「総合大学の附属学校ならではの取組み。できれば今後も継続していきたいです」と話していました。

ヤギのサンちゃんとウメちゃん

(取材?構成:茨城大学広報?アウトリーチ支援室)